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長めの旅をしたいと思う事が・・・ [国鉄1960年代]

 昨年の3月、京都・大阪に電車に乗りに行って以来、旅らしい旅をしていない。昔、撮った写真を整理していたら、1960年・昭和35年1月に東京駅で撮った写真。懐かしく眺めていました。
 フィルムは既に変形し、手の打ちようも無いのですが、ハーフ判オリンパスペンF3.5付で撮ったフィルムの1,360DPIスキャンの電子データしかない。まあ、あるだけマシと思うことにしています。

 東京駅の14・15番線ホームに行けば、近畿、中国、九州への列車が頻繁に出ていた時代です。飛行機は新婚旅行でもなければ乗れないと思っていました。ここ、東京駅に行けば『旅』を体感できたのです。まあ、今の、羽田・成田の空港みたいな気分。

 昔、私の旅立ちの場所は、たいていは国鉄の東京駅でした。殆どの旅行は西の方に行っていたからです。
 その頃、私は大学の4年で、就職も決まっており、卒業まで3ヶ月を切って、卒論は仕上げの場面であり、割とのんびりした日々を送っておりました。
 そんなある日、私は、ぶらりと東京駅に出掛けていったのです。家から、池上線で五反田に出て、山手線で品川。ここから東海道本線の各駅停車客車列車に乗って東京駅に到着。長距離ホームに行って、なんとなく、旅に出たような気分で帰ってきたのです。そのときのフィルムなのです。4駒ほど選んでみました。

(1) 売店で買い物の親子。当時は、なんとも思わなかったこんな写真。子供が出来、孫ができると、子供のこんな表情が、たまらないくらい可愛く思えるようになりました。
 バックは、別の駒を見ると、『さくら』の表示があり、到着した列車らしい。

(2) この列車が回送で出て行った後に入る普通列車・・・・もちろん客車・・・・のお客さんが並んでいます。女性の着物姿が多かった頃でした。

(3) 12・13番線ホームを、クハ76ご対面の横須賀線電車を通して眺める。10番線に居るのは、屋根にガーランドベンチレータが付いており、客車のようです。

(4) 12番線に入った湘南電車は300番台のノーシルノーヘッダータイプ。


 退職したら長い旅をしたいと思っていました。退職後8年、家族とか、気の合う仲間たちと、時々、出掛けたりしているわけですが、なかなか『大物』は出来ないものです。昨年、秋になす高原に行った程度で、今年になってからは、遠出の機会が無く、最近は、「日帰りご近所」の「旅とも言えないお出掛け」ばっかりになっています。

 こんなシリーズをご存知でしょうか?岩波書店が昭和30年代に出していた「岩波写真文庫」、そのNo.113に「汽車の窓から」というのがありました。たしか、高校時代に買ったはずなのですが、ずいぶん愛読しまして、ぼろぼろ、表紙もなくなっています。かなり前に復刻版が出ておりましたが・・・・。

 表紙がなくなっているので、巻末の広告ページの18×25ミリの表紙写真からのスキャンですが、こんな本です。(こういうモノも著作権関係の問題があるのだろうか??)
 表紙まで入れて66ページの薄い本ですが・・・・・。私は、ずいぶん影響を受けましてホームページに出してある、『1960年の東海道本線各停の旅・・・・東京~袋井』の撮影動機も、この本でした。
 今日も、引っ張り出して、添えられた戸塚文子さんの名文とともに、汽車の旅がメジャーだった時代の、車窓風景を楽しんでいました。

 では、また!!!!!


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Fuzzy

この当時生まれた者としては、未知ながら、懐かしいような・・・不思議な感じがします。
でも東京駅の優等列車到着歩廊だけあって、皆さん身なりがいいような気がします。
たしか、神武景気から岩戸景気に向かう頃だと思います。
日本中がとても元気な、いい時代だったのでしょうねぇ。
by Fuzzy (2007-07-23 12:34) 

のり

とてもすばらしい写真ですね。
男の子がお母さんに買ってもらったのは「少年マガジン」でしょうか。
スカ型電車の面合わせも、細部の違いがよく分かって楽しい写真です。
長距離ホームは、都会の喧騒を離れた独特の雰囲気ですね。
そのまま故郷へつながっているのですね。
大阪駅も北陸行きの11番がなくなってしまい、無機質な駅になりつつあるようです。
by のり (2007-07-23 12:34) 

no

こんにちは。
ああ、懐かしい。私も持っています。大事に大事に見ています。
もちろん自分で買ったものではなく、母の持参本を当然のように自分のものにしました。いい写真ばかりなんですよねえ。
思えば、東海道への憧れは、この本から始まったようです。

昔って、今より寒かったですよね。
和装の人(多いですね)も洋装の人も、みな一様に厚く包まっていますし。
でも、サボと言いボストンバッグと言いみかん箱と言い、私もこういう旅をちょっとだけでも経験できたことは、今考えるととても幸せな夢のような体験だったと思います。
by no (2007-07-23 14:09) 

HIRO

いつも懐かしい写真をありがとうございます。
見ているうちに会社の学生寮に居た時代を思い出しました。
っていうか、九州の家に帰る友達を見送りに一緒に東京駅まで見送りに行きましたが、まさにこの写真見たままですよ。

その頃九州特急に混じって遠距離を走る急行列車が走っていて確かスハ40系?の古い客車に変わりナハ10系は窓が大きく斬新に感じたものです。

乗客で着物姿の女性が目立っていたことが改めてよくわかります。こういう鉄道写真は時代を反映する遺産として貴重です。

それにしても岩波書店の「汽車の旅」今一度復刊版として出してほしいものです。
by HIRO (2007-07-23 14:21) 

じろっち

当時の人々は凄いですよね。
東京から100km/hも出せない列車で、山陽・九州まで当然のように出かけたんですから。
仮に今、最高速110km/hくらいの列車で東京発の長距離列車があったとしても、盛況なのは岡山あたりまででしょうね。
by じろっち (2007-07-23 16:11) 

なにわ

向かって右側に20系のドアがあるので、左手が大阪方、ということは14番線ということです。
ということは、この当時14番線に到着列車を入れていたのでしょうか。
この後の写真からすると、出発列車ではありえませんから。

>じろっちさん
最高時速270kmの新幹線でも、広島までしか勝負になりませんからねえ。もしジェット機も高速道路もなければ、そして運賃がそれなりであれば、相当遠くまで乗るのではないでしょうか。
by なにわ (2007-07-23 18:59) 

む〜さん

■ ファジー様: 確かに身なりは良いですね。長距離急行列車ではなく、12時00分発の名古屋行き普通列車のお客さんです。ひょっとしたら、熱海あたりまで行く方も居たのかもしれません。
■ のり様: 近距離電車の12~13番線と違って、14~15番線のお客さんは雰囲気が違ってました。私なんか、14~15番線への階段を上っただけで、結構、興奮したもんです。この線路が、近畿、中国、四国(まあ、船の時代ですが)、九州につながっていると考えただけで、わくわくしたものです。
■ no様: 『汽車の窓から』・・・・いい本でした。眺めているだけで、旅した気分でした。この時代、私の母なども、そうでしたが、普段の着物率が高かった時代でした。
■ HIRO様: 当時私の好きだったスハ43は、たしか、台車振替かなんかで、オハ46(・・・かな?)になっていました。ナハ10、11は、軽快な走りで、乗り心地もよく、乗るには好きだったのです。でも、見るのは、スハ43とか44が好きでした。
 岩波写真文庫の、県別シリーズもよかったですね。
■ じろっち様: そうなんですよ。大阪は昼行急行列車、中国地方から先は夜行急行でしたね。もちろん、エアコン無しですから、夏なんか大変な旅だった。オジサンなんかは、アンダーシャツにステテコになっちゃう人も居ました。女性は更に大変だったと思います。その夏の夜行列車の車内は、当時の松竹映画、野村芳太郎監督、『張り込み』の冒頭部分に、効果的に使われています。レンタルがあるかどうかは分かりませんが・・・・。
■ なにわ様: この画像とは別の画像に『さくら』の表示が写っており、到着列車だったことは、間違いないと思います。各停客車列車は、9~10番あたりに到着していたようです。
 7~8番線はどうだったか、忘れています・・・・・甚だしい衰えの見える私の脳ミソ・・・・困ったものですね。
by む〜さん (2007-07-23 19:54) 

quatre-l

週末は、映画「お茶漬けの味」を観ました。
1952年の皇居、日比谷あたりから映画が始まって、東海道本線の列車も何度か登場します。

修善寺に向かう電車や最後尾が展望車になっている列車で関西へ向かうシーンなど。特に後者では、浜松付近の長いトラス鉄橋が主人公の心象風景としても重要な場面として描かれております。

む~さんの懐かしい鉄道風景を拝見するのと同じように素晴らしい体験ができますよ。昔の邦画、オススメです~。
by quatre-l (2007-07-24 00:44) 

’80XE PA96E

長旅の始まりを感じるスナップですね。
ゆっくりした長旅の方が旅の余韻を味わえて良いのですが、仕事してると長い休みが少ないですし、昔のように盆前の夏休みも今は無いので、実現できませんね。
でも今年の盆休みは名古屋で車仲間でのオフミがあるので、行きは在来線乗り継ぎでの行こうかなと思っております。
by ’80XE PA96E (2007-07-24 00:49) 

服部光之

今の東京駅の喧騒とはかけ離れた時代ですね。
私は、雑誌の旅を愛読していました。
高校2年のときに本屋で購入してから、約15年ぐらい読み続けましたが、岡田喜秋編集長の時代は本当に鉄道の旅と文学の旅で旅へのいざないとなりました。
そこかかしこに鉄道のすばらしさ、文学の著者の思いを感じさせてくれました。
しかし、旅誌も時代の変遷に流されて、いつしか旅のガイド誌になってしまい私は購読をやめました。
岡田編集長の旅誌はすばらしかったし、私の青春時代の心のオアシスでした。
by 服部光之 (2007-07-24 05:34) 

む〜さん

■ quatre-l様: ビデオといえば、家城巳代治監督の『裸の太陽』と、野村芳太郎監督の『張り込み』はDVD出ているのでしょか・・・・・。エアチェックのVHSはあるんですが・・・・。鉄道映画の話に、この両者(特に前者)は、何故か、あまり出てきませんね。
■ '80XE_PA96E様: 名古屋ですか・・・・・関西本線経由は如何でしょうか?キハ120もいいものです。帰りは関が原越えで・・・・・。
■ 服部光之様: こないだ、気がついたのですが『旅』は何時の間にか『新潮社』に発行元が移っているんですね。吃驚してしまいました。松本清張の『点と線』も『旅』の連載で読みました。
by む〜さん (2007-07-24 09:26) 

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